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「あ、あの……好きです! 私と付き合ってください!」


一日の授業をすべて終えて、私は割りふられた教室の掃除をしていた。


ごみ捨てに行くため校舎の外を歩いていれば、女の子の震えた声が耳に届く。

私は咄嗟に校舎の影になる場所に身を潜めて、恐る恐る声の聞こえた方へ視線を送った。


そこに居たのは、確か隣のクラスに在籍していたはずの、ショートカットの女の子だった。

真っ赤な顔で思いを伝えている先には――宇佐美くんが立っている。


女の子から告白された宇佐美くんは、読めない表情で黙り込んでいた。


さっきから宇佐美くんの姿が見えないなって思っていたけど……なるほど、呼び出されていたのか。

やっぱり宇佐美くんって、モテるんだなぁ。