「そ、そういえば宇佐美くん、今度練習試合があるんだよね？」
「うん、そうだよ。何で知ってるの？」
「夏美ちゃんに教えてもらったんだ。よかったら観にこないかって誘われてて」
「……ほんとに？」
「うん」
宇佐美くんは驚いたみたいに目を丸くしてから、そっと口角を持ち上げる。
「……そっか。夏目さんが応援してくれるなら、いつもの何倍も頑張れる気がする」
――やっぱり、宇佐美くんの笑顔の破壊力はすごい。
おさまってきたと思っていた鼓動が、またうるさく音を立て始めた。心臓が、ぎゅんって悲鳴を上げている気がする。
とうとう誤魔化しの言葉も出てこなくなって、赤くなった顔を隠すように机の上を見ていれば……タイミングよく先生が教室にやってきてくれて、話はそこで途切れた。
