「そこ、邪魔なんだけど」

「……小さすぎて、見えなかった」

「ねぇ、いつまでしゃべってんの? もう始まるけど」


「ご、ごめんね……宇佐美くん」



クールで格好いいと人気者の宇佐美くんに、私はいつも謝ってばかりだった。


どうして冷たく当たられるのか分からなくて、でもきっと、私がとろいから……宇佐美くんからしたら見ているだけでイライラしてしまうんだろうなって、そう思ってた。

仕方ないことなんだろうなって。


だけど次第に、彼に冷たい瞳を向けられるのが怖くなって。

いつしか私は、彼を避けるようになった。


これ以上関わらなければいい。彼のことを、知らないままでいればいい。

無関心でいればいいんだ。

そうすれば、これ以上傷付くこともないから。


きっと、私と宇佐美くんの距離が縮まることなんて一生有り得ないんだろうなって、そう思っていた。

そう思っていた、はずなのにな……。