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 電話を切ってから、十五分ほどして中川くんが自転車でやって来た。
 制服のままで、かなり急いで来てくれたみたいだ。

「お邪魔します」
「あ……」

 玄関に入ってきた中川くんを見て、お母さんは少し驚いた顔をした。
 お母さんは見かけたことがあるかもしれないけど、ちゃんと説明したことはなかったから。たぶん、ただのチャラい誰かだと思ってるはず。

「えっと、中川くん、お姉ちゃんと私の友達で色々支えてもらったの」
「そう……」

 私が説明するとお母さんの表情が柔らかくなった。
 見た目より良い子なんだってこと分かってくれたんだと思う。

「いらっしゃい」

 そう言って、お母さんは中川くんを迎え入れてくれた。

「中川くん、こっち来て」

 家の中を通って、庭に出る。
 中川くんも履いてた靴を手に持って、私のあとに続いた。
 隣でトントンと靴を履く音が聞こえる。

「んー、どこだったかな」

 本当に困った。頭を抱えて悩む。
 タイムカプセルなんて今のいままで忘れてたから、詳細な場所まで覚えてない。
 覚えてるのは庭に埋めたことと、『忘れた頃に掘り起こす』ってそんなこと覚えててどうすんのっていうお姉ちゃんの言葉だけ。

「もしかして、場所忘れたの?」

 隣に立った中川くんが、私を見る。