ある平日の夕方、家のインターホンが鳴った。

「はい、どちらさまですか?」

 お母さんが出て、私も後ろから様子を伺う。
 また、お母さんのお友達かと思ったけど、明らかに雰囲気が違った。
 なんだか、空気が重苦しい。

「突然、失礼します、私、こういった者ですが」

 カメラに映る警察手帳。
 警察官の制服。
 すぐにお姉ちゃんのことだと分かった。

 あれから何ヶ月も経ってるけど、きっと新しい情報が入ったんだ。

「いま行きます」

 お母さんが玄関に向かう。
 私は怖くて、リビングに残った。
 でも、扉は開いてて、話は聞こえる。

「失礼します」

 玄関の扉が開く音の次におまわりさんの声が聞こえてきた。
 しんと静まった空間に声だけが響く。

「娘さんのことなんですが、自殺ではありませんでした」

 ずしんと心に来る言葉だった。

「え……」

 思わず、自分の口から声が漏れる。
 お姉ちゃんが自殺じゃなかったって?