「そうだね。ほら、約束しよ」

 そっと差し出される右手の小指。

「うん。嘘吐いたら針千本飲ます、指切った」

 お互いの小指におまじないをかけて、静かに解く。

「それじゃあ、Aちゃん、私もう行かなくちゃ。また明日」

 一日に会える時間が決まっているのかも。
 お姉ちゃんは慌てたように言って、私に手を振った。

「うん、またね、お姉ちゃん」

 私も手を振って、去っていく彼の背中を見えなくなるまで見つめていた。
 お姉ちゃんなのに彼って変な感じ。
 でも、明日もお姉ちゃんと会えるんだ。
 お別れの準備なんて出来てない。
 まだ一緒にいたいよ、お姉ちゃん……。