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 日々、疑いが積み重なっていく。
 お姉ちゃんと颯馬くんが消えかかってるんじゃないかって。

 あのあと、怖くて私は彼に聞くことが出来なかった。

 ちょっと一人で考えたくて、今日は日曜日だけど、颯馬くんと会う約束はしなかった。
 理由もなく家の近くを歩いて、そういえば、ここらへんにお姉ちゃんが通ってた中学校があるんだっけ? と思って足をそちらに向ける。

 いままでの私は勉強以外に興味がなくて、お姉ちゃんの学校にも行ったことはなかった。そもそも大体の行事はかぶっているし、お互いを見に行くのも無理だった。

「ここが……」

 私が通っている中学校と違って、少し小さくて地味に見えた。
 三階建ての校舎から休日も活動している吹奏楽部の演奏が聞こえる。
 たぶん、創立年数もこっちのほうが長そうだ。
 
 とはいえ、私は部外者だから、中に入ったりはしないけど。
 
 ――お姉ちゃんはここに通ってたんだ……。

 そう思うだけで、もう少し散歩してから帰ろうと思った。

 まだ私の悩みは解消されていない。
 颯馬くんの中からお姉ちゃんが消え――
 
「嘘……」

 目の錯覚だと思った。