あれから数週間が経った。

「あの、付き合ってください」

 ついに颯馬くんに告白する女子が現れた。
 校門の前で、私がいるのに、だ。

 相変わらず、颯馬くんは茶髪で耳にピアスもあって、チャラいけど、顔が整っている。
 そこらのアイドルよりもイケメンで背が高くて、目立って、いままでここで告白されなかったことが不思議ではあるけれど、ちょっと気に入らない。

 告白してきた子はあきらかに私より可愛いし……。

 思わず、私はむむっという顔をしてしまった。

 そんな私の肩をぐいっと抱き寄せて、颯馬くんは

「ごめんね、俺がいま付き合ってるの、この子だから」

 爽やかに笑った。告白を断るときの顔じゃない気がする。
 そんなに魅力的に笑ったら、逆に諦めてくれないと思った。

「また来ます~!」

 ふにゃふにゃになった女子がとりあえず、今日は帰っただけ。
 
「Aちゃん、そんなあからさまに嫉妬見せないでくれる?」
「へ?」

 横から、そう言われて、私は間抜けな声を出してしまった。

 もしかして、颯馬くん、私の顔見てたの?
 すごい恥ずかしいんですけど……っ。

「大丈夫だよ、俺はAちゃんしか見てないから」
「そういうことじゃ……」

 目でも「な?」と言われて、私は顔面を両手で隠した。

 あの日から、どきどきが止まらない。
 颯馬くんが私を助けてくれた日。
 私が彼のことを好きだと自覚した瞬間。