「あー、点数落ちた」

 戻ってきた定期考査の結果を見て、私は溜息を吐いた。
 いままでより総合的に順位が落ちてしまったからだ。
 クラスのみんなも自分たちの結果を見て、教室中がざわめいている。
 
「えー? これで下がったとか言ってんの?」
「大丈夫だよ、仲里さん」
「そうそう、私も真ん中くらいだし」

 気付けば後ろから進藤さんたちが私の結果を覗き見してて、そう言われた。
 頭のいいこの学校で、みんなそこそこの成績を取ってるからすごい。
 しかも、そんなに可愛くおしゃれしてるのに。ぬかりない。

「今日の放課後、特別補講を行います。赤点を取った生徒はもちろん、復習したい人は来てください」

 教壇のところで担任の先生が言った。

 今日は図書館で颯馬くんと約束している。
 でも、勉強しないと……。
 私から唯一出来ることを消してはならない。

 補講なんて、きっと一時間くらいで終わるよね。
 きっと、颯馬くんは待っててくれるよね。
 
 そう思って、私は補講に参加することにした。