「ごめん、意地悪な質問だった」

 視線を外すことなく、また小さく続けた。

 これは意地悪で残酷な質問だ。
 人を試すような醜い質問。
 でも、お姉ちゃんと、颯馬くんと、私も一緒に消えたいと思ってしまう。

 だって、もういいじゃん。
 楽しみもないし、自分に出来ることもないし。

「……っ」

 突然、横からガバッと颯馬くんに両手を握られて、私は息をのんだ。
 そちらを向くように手を引かれる。

 強い瞳と視線が合った。

「私が消えるまで俺がAちゃんのこと絶対に守るから。どこにも行かないで」
「颯馬くん……」

 ずるいよ、消えてしまうのはそっちなのに。
 また泣きたくなってくる。

 今日、喧嘩してたときの颯馬くんはお姉ちゃんの面影が一ミリもなかった。
 颯馬くんごとお姉ちゃんが消えてしまうのか、颯馬くんの中からお姉ちゃんだけが消えてしまうのか。

「寂しくなったら、今日のこと、思い出して」

 そう言いながら、颯馬くんはロウソクの火をふっと吹き消した。