なんだかちょっと疲れるな、と思った。
 気を遣うし、空気というか雰囲気が合わないというか。
 
 颯馬くんとはどうして合うんだっけ? と思う。
 私たちが双子だから?
 でも、いまの颯馬くんからはお姉ちゃんの面影をほとんど感じられない。
 そう、まるで、本当に別人になってしまったみたいに。

 ――颯馬くんに会いたいな……。

 しばらくして私たちは喫茶店を出た。
 間宮くんにいくらか質問をした気がしたけど、内容をまったく覚えていない。

「なにを考えてるの?」
「え?」

 歩いていて、横から声をかけられてビクッと身体が反応する。
 間宮くんが私のことをじっと見つめていた。

「仲里さん、もしかして、他に好きな人がいたりする?」

 その言葉にぎゅっと心臓を握られたような気分になる。
 やっぱり、私の考えは悪いことなのかもしれない、と。

 正直に言おうか、何もかも全部。
 お姉ちゃんが戻ってきたことは言えないけど、颯馬くんと付き合ってる理由が小説を完成させることだと。
 いやいや、そんなことを言ったら間宮くんも自分が利用されたと思うだろう。

「あの……」

 私が何か理由を考えながら恐る恐る声を出したときだった。