◆ ◆ ◆

 颯馬くんと会わなくなってから、テスト勉強に身を入れて、死ぬ気で勉強した。

 私の通っている中学校は全体的に勉強が出来る人が集まっている。
 自分はどこを目指してるってわけでもないけど、勉強が出来る、という秀でた部分をなくしたくなくて、上の中には居たい。
 それでどのくらいのレベルかって言ったら、有名大に何人も受かってる地元の進学校に入れるくらいのレベル。

 朝も昼も夜も勉強して、自分の目指す場所に悩みながらも私はテスト期間を終えた。

「仲里さん、行こう」

 帰りのホームルームはなくて、自然解散。
 すぐに私の席には間宮くんが寄ってきた。

 進藤さんたちからは小声で「デートがんばってね」とか言われたけど、これは別にやましいデートではないはずだ。私たちは、ただ試しに遊ぶだけ。

「どこ行こっか?」

 学校を出て、まず最初に思ったのが、行き先を私に聞かないでほしい、だった。

 私から遊ぼうと言ったし、きっと私に気を遣ってくれているのだと思うけれど、私はお出かけが得意なほうではない。行きたい場所なんて見つからない。

 颯馬くんとはいつも図書館とか、昔行った思い出の場所しか行ってないから。
 新しくどこか行きたい場所を見つけるなんて難しい。

「歩いて、一番最初に見つけた喫茶店」
「分かった」

 そう言って、目的地を決めるまでに十分以上かかった。
 きっと、私が運動が得意であれば、サッカーとか身体を動かす系の施設に遊びに行けたんだろうけど。

 適当に歩いて、一番最初に見つけた喫茶店は駅前にあった。
 昔ながらのちょっと中が暗い感じのアンティークな内装のお店。
 人通りを避けて歩いていたら、結構、奥まったところに来てしまった。

「仲里さんは、何が好きなの?」

 アイスココアを二人で注文して、間宮くんが先に口を開いた。