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 進藤さんたちにメイクを教えてもらって、早一週間

「仲里さん、付き合ってくれないかな」
「え?」

 屋上までの階段の踊り場に呼び出された私は、クラスの人気者、爽やか系男子の間宮くんに告白された。

「最近、仲里さん変わったよね。可愛さに気付いちゃったというか……」

 照れ臭そうに、間宮くんははにかんだ。説明に可愛い系もプラスしたほうがいいかもしれない。

 ツヤのある黒髪、くりっとした丸い目。所属するサッカー部では結構活躍してるとか。
 そんな陽キャがなんで私なんかと、と思うけど

 『訳ありなんだね。それならさ、うんと可愛くなって、ナンパされまくって、彼氏を嫉妬させよう。恋には嵐が必要なんだ』

 進藤さんの言葉を思い出して、イエスともノーとも言えなくなる。

「返事は明日とかでもいいから、考えてみて」

 そんな私を見かねてか、間宮くんは爽やかに笑って、階段を降りて行った。

「仲里さん、やるじゃん」
「メイク頑張ったもんね」
「心なしか、ちょっと痩せてすらっとした気するし」

 いつからそこで聞いていたのか、階段を降りて行ったら、進藤さんたち三人組がニヤニヤしながら立っていた。
 メイクをさらに頑張ったのは颯馬くんに気付いてほしかったから、とか、言えない。

「それで、どうする? ちょっと中庭で作戦会議しよ」