「実は気になってたんでしょう?」
「実は好きなんでしょう?」
「実は可愛いの大好きでしょう?」

 三人に詰め寄られる。顔がぶわわって熱い。ぐいぐいって、押されながら中に入って、訳も分からず色々なコーナーを連れ回される。

「アイライナーはこれでしょ? 黒より、茶色だよ」
「そうだね、目つきやわらかく見えるからね」

 アイライナーコーナーでは木村さんと進藤さん。

「アイシャドウは断然これ、白のラメのも入ってるから、涙袋に塗ったら瞳うるうるに見える」
「いいね、ピンクベース最高」

 アイシャドウコーナーでは橘さんと進藤さん。

「リップはこれ、ピンク、だけど、ツヤツヤしすぎないやつ」
「あんまりツヤツヤすると天ぷら食べたのかな、ってなるからね」

 リップコーナーでは木村さんと橘さん。

「ベースは私が勝手に選んだ。仲里さん、肌白すぎるから、それを活かしつつピンク系で血色良くする」
「いーね」

 一瞬消えたと思ったら進藤さんがベースメイク用品を持って戻ってきて、橘さんとハイタッチしてた。

「待って、マスカラ忘れてるよ?」
「そこは量増やすやつじゃなくて、長さ出すやつで。この子、元から毛量はあるから」
「じゃあ、これだ」

 レジに向かおうとして、木村さんが進藤さんを止めた。
 進藤さんの指示を経て、橘さんが目的の物を見つける。
 なんてチームワークなんだ、と関心してしまう。

「はい、これ、買ってきて」