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 今日は時間が過ぎるのがすごく長く感じた。
 それは私だけじゃなかったみたいで

「なんかさ、今日、すごい授業の時間長く感じたよね?」
「思った、早く授業追われよ、って」
「国語の時間が鬼長かったわ」
「「分かるー」」

 中村さんの言葉に進藤さんと橘さんの言葉がかぶる。

 後ろを歩く私は何も言わないけど、別に何か文句を言われるわけではない。
 元々、私はこの人たちとは関わることのない地味な陰キャだし。
 それどころか友人すら作ってなかった一匹狼だったし。

「仲里さん、こっちだよ」

 でも、三人とも、何故か私が迷子にならないように気に掛けてくれたりするんだよね。
 私なんて、おもちゃなのに。

「ここ人多いから、迷子になりそうだったら、私の腕掴んでていいから」

 進藤さんが私の手を自分の腕のほうに誘導する。
 たしかに、細い道にたくさんお店が並んだこの場所は私たちみたいな学生とか、奇抜な格好をした若い人、それと外国からの観光のお客さんとかが密集していて、迷子になりそうだった。
 だから、言われた通りに私は進藤さんの腕を掴んだ。

「なにそれ、イケメンじゃん」

 橘さんは笑ってるけど、バカにするとかじゃなくて、こういうノリなんだろうな、って分かってきた。進藤さんは、ふふん、と自慢げだった。ちょっと面白かった。

「はい、こちらです。メイク用品集めましょう」
「ここはプチプラだから、うちら中学生にもめちゃめちゃ買いやすいんだよ?」
「うちらには勉強も大事だけど、こういうのも大事だよね」

 三人に案内された店の前で顔を上げる。瞬間、視界に飛び込んでくる、キラキラ。
 入口の狭い小さめのお店だけど、ライトとか、装飾がピンクのハートだったりして私にはすごく眩しく見えた。私なんかが入っていいのかな、って。

「キラキラしてる……」

 無意識に呟いて、恥ずかしくなって、三人を見ると、みんなニヤリと笑っていた。