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「それで、昨日はどうだったの?」

 次の日のお昼休み、進藤さんたちは興味津々だった。

「彼氏、仲里さんのおしゃれに気付いた?」

 ずいっと木村さんが身を乗り出す。「髪の毛、お弁当につくよ」と橘さんが木村さんの髪を押さえてあげていた。

「気付いてくれたよ?」

 見た瞬間に言われたから、あれはすぐに気付いてくれた、でいいのかな。

「可愛いって言われた?」

 進藤さんからの期待の眼差し。今日も変わらず、陽キャのオーラが出てる。

「……う、ん」

 答えにくいけど、答えないと終わらないから、とりあえず頷いた。

「きゃーっ! これは続けたほうがいいね! 今日は彼氏と会う約束してる?」

 進藤さんが私の腕を隣から引っ張る。

「ううん、今日はしてない。次に会うのは明後日だから」

 なんでそんなこと聞くんだろうって、もしかしたら、表情に出てしまったかもしれない。
 でも、進藤さんは嫌な顔ひとつしないで

「じゃあ、今日の放課後、買い物行こ!」

 興奮したように言った。その顔も可愛い。ちょっと羨ましい。

「いいね! 行こー! 行こー!」
「めっっちゃ楽しみなんだけど! あたし的には仲里さんはピンクベースだと思うね!」

 橘さんも木村さんも高々に腕を上げた。そんなオーバーリアクションしても恥ずかしく見えないのが、この三人だ。

 三人とも瞳がキラキラしてる。そんなにテンション上がることなのだろうか。
 よく考えたら身内からの「可愛い」なんて、ただの日常会話だろうし。
 自分のことじゃないのに、こんなに盛り上がってくれて、なんだか申し訳なくなる。

「じゃ、放課後、一緒に行くよ? 解散!」

 進藤さんの合図で散っていく三人、私だけがしばらくの間ぼけっとしていた。
 嵐みたいだった。