「最初に言ったよね? 会ったら、私は消えちゃうって」

 立ち止まって、少し冷たい返答が返ってくる。

「そう、だよね……、ごめんなさい」

 分かってた。
 私の足も止まる。
 お姉ちゃんが消えちゃうのは嫌だし、両親を救いたい気持ちも嘘じゃない。
 二人はお姉ちゃんのことを信じてくれないかもしれないし。

「ううん、こちらこそ、つらい思いさせてごめんね」

 儚い笑みが私を引きつける。
 そっと、正面から胸を借りると、お姉ちゃんとは違うふわりとビターな香水の匂いがした。