「仲里さん、おしゃれとかしないの?」
「え?」

 もう飽きられたと思ったのに、数日経ってもキラキラ女子である進藤さんたち三人は私から離れていかなかった。昼休みになると、私を仲間に入れてお弁当を食べる。
 
 大抵は自分の彼氏とか好きな人の話とかアイドルとか、買い物の話とかだけど、たまに私の恋愛事情が気になるみたいで聞いてきた。

 颯馬くんと会い続けて早三週間、そんな今日も進藤さんたちは私のことが気になったみたい。

 おしゃれって……。

「今日もイケメン彼氏と会うんでしょう? おしゃれしないと」
「え、え?」

 お弁当箱を片付けて、何やら、ギラギラとした瞳をし出す進藤さんたちに私は戸惑った。
 けれど

「私、メイクしてあげるよ」
「私は髪巻いてあげる」
「制服も、こうしよう」

 あれよあれよ、と彼女たち三人の手によって、私は変身させられてしまった。

 長い黒髪は進藤さんみたいにゆるくふんわりと巻かれて、顔面は木村さんみたいにピンクベースのパッチリメイク、制服は橘さんみたいに軽く着崩してシャツの第二ボタンなんて外したことないよ。

 昼休みが終わる頃には三人とも「これでよし」なんて言って、満足そうに自分の席に戻っていった。絶対に私のことおもちゃだと思ってる。

 でも、トイレの鏡で見た自分は、まるで私じゃないみたいにキラキラしてた。
 おしゃれの力ってすごいんだ。

 ――颯馬くん、気が付いてくれるかな……。

 でも、先生に怒られるんじゃないか、他の生徒に変だと思われてるんじゃないか、って放課後までずっと落ち着かなかった。