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 放課後、またお姉ちゃんは校門で私を待っていた。
 まるでわざと目立とうとしているみたい。
 私が慌てるのを見て、絶対に面白がってるんだ。
 だって、お姉ちゃんはそういうイタズラっ子みたいなところがあるから。

「ねえ、Aちゃん、文章下手くそすぎない?」

 ちょっとだけ小説の続きを練習として別のノートに書いてみたんだけど、それを見たお姉ちゃんの第一声がこれ。

「だから言ったじゃん!」

 ちょっと大きな声を出してしまって、私は図書館の隅から周囲に「すみません」と頭を下げた。

「たしかに言ってたけど、ここ私、私って続いてるし、ここなんて急に主人公、男子のこと好きになってない? 読書してる?」

 ノートのある一点をペンで差しながらお姉ちゃんが言う。

「そんな時間ないって、これでも勉強の合間に頑張って書いたんだからね」

 思わずムッとしてしまう。
 一ヶ月も学校休んでたし、いまは勉強についていくのがやっと。
 お姉ちゃんのせいとか言いたくないけど。
 仕方ないじゃん。

「Aちゃん、勉強が強い学校行ってるもんね。えらいえらい」

 身を乗り出して、お姉ちゃんは私の頭をポンポンした。
 その顔ではやめてほしい。
 破壊力が強すぎる。