ーエピローグー
とある日。いつも通りの日常を、生徒たちはすごしていた。目の前の黒板には、文字が並んでいて、それを書き写す生徒たち。そして、ある生徒は思う。あーあ、今日も平和だなー。いつもと変わり映えしない、つまんない景色。
 すると、そんな生徒の心の声が聞こえたように、教室に異変が起きた。天井が、光った。青緑色で、透明な光。その色はまるでシャボン玉のようだった。そして、ある生徒ー、平野夕夏はその光景に見とれていた……が、その光は危険なものであった。ぽつぽつと、クラスメイトたちも光に気ずき始める。その時、平野夕夏は見た。確かに見た。クラスメイトではない、人の姿を。しかし、大人ではない。少女だ。少女は、どこから現れたのか、天井からゆっくり舞い降りる。少女の足が床についたとき、周りにあふれていた青緑色の光が一気に強くなる。周りのクラスメイトたちが動かなくなったとき、平野夕夏は少女に尋ねた。あなたはだれ—……。
 ー第1章 歴史の授業でー
5時間目、歴史の授業。熱心に先生の話を聞いているクラスメイト達。しかし、お昼後のせいか、夢の世界に旅立っているものも多い。もちろん、この中には居眠り常習犯も混じっている。その中の一人の女の子の名前はリーヤ・フィルファ。毎日毎時間居眠りをしている。だって授業つまんないんだもん。と、リーヤはいつも思う。それでも、歴史の授業を受け持つウエノ先生は優しいから、大丈夫。
「ちょっと、リーヤちゃん。起きなよ。」
しかし、リーヤの隣の席の、ユリヤ・ファンタジーは真面目。だから、毎時間起こしてくるのだ。
「いいの、いいの。ユリヤちゃん。私、別にそういうの気にしないから。」
「ううん、違うの。私が気にしちゃって集中できないんだってば。」
「なーんだ。もう、わかったよ。今日だけは起きててあげる。歴史はまだ他のやつより興味あるし。」
「なら歴史の授業だけでも毎回起きてよ。」
「はいはい。」
あーあ、正直、面倒くさいな。ユリヤちゃんとは別に特別仲がいいわけじゃないから、起きてなくてもいいんだけど。まあテスト前だし、この授業くらい起きてるか。とリーヤは思う。
「今日は惑星アースについて勉強する。」
ざわっ。クラスメイトたちがざわめく。その星は、有名すぎて、ほとんど授業を寝ているリーヤでさえ、知っている。なぜならそこは、滅亡した星、つまり滅んでしまった星なのだ。リーヤたちの住む星、惑星シャボンと一番近い生物の住む星。昔は、惑星シャボンと惑星アースは星交を結んでいたのだとか。
「惑星アースがいつ滅んだのか知っているものはいるか。」
「はい。400年前です。」
「そのとおりだ。」
答えたのはユリヤ。おー、とクラスメイトたちから歓声があがる。ユリヤは学年トップに入るくらいに頭がいい。あーあ、なんで私この人隣になっちゃったんだろう……。でも、私、本当に、この話には、興味があるかも……。
それからリーヤは、歴史の授業だけは真面目に聞くようになったのだ。
『やっほー!リーヤ。』
「あぁ、ハッピー。」
夜、リーヤはエレメンタリースクールの友達、ハッピー・ポート・ディスカバリーと電話をしていた。ジュニアハイスクールは別々だが、たまにこうしてメールや電話をしている。
「ねぇ、ハッピー。私、惑星アースのことについて少し興味があるんだけど。」
『えっ!?リッ、リーヤ⁉ど、どうしたの急に‼』
「そんなに驚かなくても……。」けれど、ハッピーが驚くのも無理はない。なにせ、リーヤはエレメンタリースクールのときから真面目に授業を聞いていた試しがないから。ハッピーは私立のジュニアハイスクールを受験し、リーヤにも一度進めてみたが、もちろん効果はなかった。だから、リーヤが惑星アースに興味があるなんて、とても信じられなかった。
「それでさ、ハッピー。今度会えない?」
『な、何よ、いきなり。私、テストの見直しがあるの。』
「でました言い訳。」
『違っ……!テストの見直しがあるのは本当よ!』
そう。ハッピーはリーヤに会いたくなると、逆に会いたくないと拒絶してくるのだ。矛盾しているその行動は仲のいいリーヤにしかわからない。
「わかったから。私、エレメンタリーのときからろくに授業受けてなかったし、エレメンタリー内容の惑星アースのことも全然知らないからさー。そっから教えて。」
『もう。わかったわよ。せっかくリーヤが興味を示したのなら、。私もちゃんと先生やらなくちゃね。』
「せ、先生って……。」
『惑星アースが滅んだ星っていうのは知ってるわね?』
「そ、それはもちろん知ってるよ。バカにしないでよね。」
『わかってるわ。でもね、惑星アースは滅んでないのよ。』
「……?どういうこと?矛盾してるじゃん。」
『滅んだっていうのは、半分間違いっていうこと。惑星アースは滅んでいない。』
「……?」
『じゃあまた明日会いましょ。電話じゃ全部は話せないもの。』
プツ。そう言って、電話はきられた。でも、滅んでいないってどういうことだろう……?