「あれ? なんだろ?」
友達と神社でやっているお祭りに行ったある日。
神社の石段に座って、少しだけ休んでいると、小さな煙が上がっているのが分かった。
小学二年生の私でも、それが普通の事態ではないことが分かった。
「も、もしかして、火事?」
でも、火事っていうにしては煙は多くないし、何かを燃やしているだけなのかもしれない。
田舎のおばあちゃんの家の周りとかでは、刈った雑草とか木の枝とかを自分で燃やすって言っていたし、同じ感じなのかな?
それでも、私は何となく嫌な予感がして、急いでその煙が上がっている場所に走って向かった。
すぐにその現場についた私は、草むらをかき分けた先にあった光景を見て、目を大きくして驚いていた。
「青い、蛇さん?」
目の前には綺麗な青い毛を生やしている、大きな青色の蛇のような姿をした生き物が転がっていた。
蛇というにしては大きくて、神秘的な生き物。
そんな大きな生き物が、体から煙を出して倒れていたのだ。
「た、大変! どしたの?!」
私が近づくと、その大きな生き物は目を覚まして、苦しそうな顔で私を見つめていた。
「どうしたの? どこか痛いの?」
「……」
一瞬、牙をむきそうになった大きな生き物だったけど、私が優しく頭を撫でてあげると、少しずつ大人しくなっていった。
「……いい子だね」
それから私は、その子が落ち着くまで頭を撫で続けた後、神社の人に知らせに行って、その子の手当てをしてもらうことにしたのだった。

たまに思い出すそんな記憶。
後から考えると、そんな生き物がいるわけがないし、夢を記憶として誤って認識しているのかもしれない。
そして、そんなことを頭で理解できるような年齢になった頃には、私はもうそんな記憶を思い返すようなこともなくなってしまったのだった。