「ただいまの決まり手は、つかみ投げ、つかみ投げで、千代古齢糖風の勝ちっ!」
 技が決まった瞬間、寿美さんは爽やかな声で決まり手を告げた。
「おう、千代古齢糖風ものすごい力! 昔、両国国技館で見た朝青龍と把瑠都の取組を思い出したよ」
 摩耶山賊は驚き顔。千代古齢糖に対しちょっぴり恐怖心も沸いてしまった。
「フォフォフォ、僕の今の気分はあっぱれ五月晴れじゃ。梶之助よ、千代古齢糖ちゃんも小兵ながら相撲がめっちゃんこ強いじゃろう。梶之助も、もう僕よりも強くなっておるのじゃから、角界入りしてさらに技を磨き、歴代最強の小兵力士になれっ!」
 うつ伏せ状態の五郎次爺ちゃんからこう命じられると、梶之助は呆れ顔で見下ろしながらはっきりと言ってやった。
「五郎次爺ちゃん、俺は大相撲の力士には絶対なれねえから、体格的に」 
                                    (千秋楽)