私はしがない会社員なので、彼と生活リズムが合わないのはしょうがないと思う。
それを承知で彼から告白してきて、私も受け入れて付き合ったのに。
出来るだけ、予定が合えば会うようにしていた。
動画配信も、可能な限り手伝いもした。
だけども。結局、彼の方から離れてしまった。



翌日。
決別のメッセージを送って、心に多大なダメージを受けたとしても。
平等に夜は明けていくわけでして、憎らしい程清々しくも新しい1日が始まる。
しがない会社員としては、どんなに酷い顔をしていても、気分が滅入っていても出社しなければならない。


「……ひっどい顔だな…」


昨日は泣きはらしてしまったけれども、幸い目はさほど腫れていなかった。
目をこすらなかったからかな。
まぁ。そんな事はどうでも良いくらいに体調不良のせいで表情が死んでるけども、顔色は何とか化粧でごまかせそうだ。
なのでいつもよりしっかりケアをして、メイクを施す。

ここ最近ストレスのせいか胃がキリキリ痛んでいて、食欲がわかない。
何とかゼリー飲料を口にして、満員電車に揺られて会社へと向かう。
最近、まともな食事していない…かな。思い出してみても、ゼリー飲料しか口にしてない気がするなぁ…。
気休めとして、野菜ジュースだったり乳酸菌飲料を口にしている程度だね。
固形の食べ物を食べる気がしないので、致し方ないとは思うけれど。
きっと、よろしくないなぁ。


今日は特別調子悪かったと思う。
何とか出社したは良いけれど、キツイ胃痛とともに強烈な吐き気が来て。
ヤバいと思った瞬間には、堪える間もなくリバースしていた。
近くにいた人達の悲鳴がする。
その声も水の中で聞いているような感じがして、それも不快感を増長させる。


「ちょ…! (さかき)さん! 血ぃ吐いてる!」

「……ぇ? あ、マジだ……」


言われて、口元を拭う。
その手には色の悪い血が付着していた。
通りで、しんどいわけだ。
そう思ったのが最後。
記憶がぷっつり途絶えてしまった。