「別れたばかりで、気が引けるのはわかるよ。周りの目もね。でも、告白は僕からなんだから、僕が周りを黙らせれば良いだけの話でもある。だから、前向きに考えてみてよ」

「なかなかな強気発言…」

「これでも結構必至だよ。僕としても珍しい事でもあるから、僕自身戸惑ってもいる。けれど、それを押しのけてでも、恋人として悠の隣にいたいと思っているよ」

「それは…凄く嬉しい申し出なんだけど…」

「やっぱりいろいろ引っかかるよね。あ。一番に言わないといけないところが抜けてたよ。恋人になってくれたら、きちんと公表はするよ。そこは事務所に話は通してあるから心配しないで。リスナーにも理解は求めるつもり」


おおぅ。
心配事が次々と消されていくぞ?
結構、用意周到ではないでしょうか。麻倉くん?


「他に心配事があったら言ってね? 可能な限り、その心配事はつぶすから」

「心配事…か。一番は教授としての活動に差支えがないか…だけど。これはさっき根回し済みって言ってたから問題ない…はずだよね。他はやっぱり時期かなぁ…仁と別れたばかりだから、知り合いになんて思われるか…」

「その辺は問題ないと思うけどね。別れた理由も仁科有罪だし、僕が悠に惚れているのはキミ達以外にはバレているから何も言われないと思うよ。それ以外の人達の声は気にしないでいいんじゃないかな」


んん?
え? 麻倉くんが私の事が好きなの、私達以外みんな知っていたのッ?
そんなに彼の態度はわかりやすかったのに、気づけなかったの私達だけとか…どんだけフィルターかかってたんだか……。


「……そんなもんかねぇ?」

「そんなもんでしょ。僕が先に、悠に告白したんだよ。状況を見て、ね。仮にOKしてくれたとしても、尻軽だなんて言わせないよ」


まさに懸念している事を、言い当てられまして息をのむ。
うーん…。最大のデメリットまで何とかしてくれるとな。うーん……それでも……


「…やっぱり、すぐには決められない…」

「そう、だよね。ごめん…」

「あのね!」

「…ッ」


私の言葉に肩を落とす麻倉くんに、慌てて待ったをかける。
ちょっと声が大きめだったのか、目を丸くする麻倉くん。
しどろもどろになりなってでも、今の気持ちを伝えないといけないと思う。


「麻倉くんの気持ちは本当に嬉しんだ。ただ、私の気持ちの問題で…すぐに返事が出来ないの」

「……うん」

「だから、少しだけ時間をください」

「……ん?」


キョトンとする麻倉くんは、なんだか幼い印象があってとても可愛い……ではなくて。


「私的に急展開すぎるの。だから、考えをまとめたり気持ちを落ち着ける時間が欲しいなって…」

「あぁ…なるほど。それはそうだよね」

「1週間内に、返事をするわ。それまで、待っててほしいの」

「1週間か…うん。問題ないよ。ずっと待ってたんだ…1週間くらい、大丈夫」

「ごめ……あ、ありがとう。必ず連絡するね!」


約束を取り付け、以降は他愛ない話をしてこの日は解散した。
しかし、ここ最近怒涛の展開過ぎて内心感情が追い付いていないのも事実なのよね。