次に行ったカラオケ。麻倉くんの美声にも魅かれ、『好きかも』と言う気持ちが進んでいく。
流石、声を売りにしている人だけどさ……いくら何でも、私チョロ過ぎませんかね?
『良いな』と思う事自体、悪いとは思わないけどさ。
私、仁と別れたばっかりだってばよ…。

自惚れで良いのであれば、今日の彼の言動を振り返ると……なんだけど。
麻倉くんは私に気がある…と、思えるんですが?
いやいや、まさかそんな。
彼ほどのイケメンが、私なんぞに気があるはずがない……………よね?

だけど。
さっきから、彼が選曲しているのは愛の告白系のモノばかりなんだが?
狙って選曲してるの? それとも、単なる歌の好みなだけ?
どう解釈すればいいのかが、わからない。心臓にも悪いので、やめていただけると助かるのですが。
うっかり歌が答えにならないように、無難な曲を選ぶのに必死になっているのに気づきませんように。


変に意識してドキドキしつつ、カラオケ後のお洒落な居酒屋にてお疲れ様会を開催。
いつもよりも割と早めに、良い感じにお酒が回っております。
お酒飲むのも久々なのもあるかもしれないけれど。
おつまみもおいしいね。


「改めて、いろいろとお疲れ様。悠」

「ありがとう。麻倉くん」


にこやかに話す麻倉くん。
もうすでに好意的なフィルターがかかってて、何をしてもカッコいいと思ってしまうようになったわ…。
いろいろと言い訳並べずに、いっその事惹かれている事を認めてしまおうかしら。
この関係が変化するのも、怖い気もしなくはないけれど……


「気にしないで。悠だから、付き合っているんだからね。……僕ね、悠の事がずっと好きなんだ。だから、チャンスだと思って思い切って誘ったんだよ」



不意に。
彼から好きだと言われました。