今週の土曜に、麻倉くんと遊ぶ約束をした。
軽くショッピングして、カラオケで発散する予定だ。
散財はしないように予算を決めておかなくては…。
まぁ、堅実に貯金もしているからそこからある程度出しても良いんだよね。
入院はしたけれど、保険とかの手続きはきちんと済ませているので何とかなるし。

仁の荷物はとりあえず全部まとめて、郵送いたしました。
お互いの予定が合わなかったので、じゃあそれぞれ着払いで。と話し合った結果なんだよねぇ。
きちんと包装しても、仁の荷物は中サイズの段ボール1箱分だった。
3年のお付き合いとはいえ、同棲していないのであればこんなものなのかもしれないね。
無事に自分の荷物を受け取って、必要なものとそうでないものを仕分けて改めて、気持ち的にも物理的にも整理をつける事が出来たわ。

うん。私の方はもう蟠りはなくなったと思う。
お友達や仕事仲間として、お付き合いはできるかな。彼の未来の彼女さんについては、彼がきちんと説明してくれれば何とかなるでしょう。


約束の前日に、美容室に行ってヘアケアと切りそろえをして、ネイルもしてもらって準備万端。
不摂生がたたって髪も爪も酷い状態だったから、自分でケアするよりはきちんとした方が良いと思ったから……て。
そこではた、と我に返る。


「待って。仁の時より張り切って準備してない? 私」


なんだろう。
仁と付き合っている時以上に、しっかりと準備している事に気づいて慌てる。
別に仁の時は雑にしているわけではなかったけれども、やっぱり仁の時以上の気合の入れように驚いた。
ネイルなんてめったにしないのに。
2人きりで出かける事自体は初めてだけど、今までのやり取りでもそんなに意識していなかったはずなのに。
今、物凄く意識している自分に気づく。


「えー…。仁と別れてすぐにとか…」


いくらメンタルがやられててボロボロだった時期だとは言え、ですよ。
親身に寄り添ってくれたからとはいえ、こんなに気持ちが動くなんて……私チョロ過ぎん?
今はきちんとケリをつけて、仁と別れたけれども。
でも、別れたばかりだよ? 私。
いや…今思えば、だいぶ気持ちは離れていたとは思う。
入院時にはもう別れを決意していたから、『直後』じゃないにしても…。


確かに気にかけてくれているとは思うけれど。
麻倉くんは、きっと。
私の事『そう言う目』では見ていないから。
気にしたところで、無駄だろうと自分に言い聞かせる。
だけれど、一度気づいた感情の主張はなかなか抑えられず。
困惑したまま、翌日をも変える事に。