「……正直。なんで、その事を連絡しなかったのか、良くわからないんだ。彼女との配信は確かに楽しくて、準備期間からそうだから…のめり込んだのかもしれない」

「……楽しさは、十分伝わってたわ。結局、畑違いの女より同業者の方が、仁には合っていたのかもしれないわね。コラボしたあたりから、私の事忘れてたでしょ」

「そう…だな。配信の事ばっかりだったと思う。ゴメン」

「も、良いよ。私に関してはその程度だったって事だから。だから、別れましょ」

「……ッ」

「『もうしない』って言われても、信じられないのよ。最初はタイミングが悪くていろいろ重なった結果だとしても、信頼関係が崩れるには十分な期間だったよ。3ヵ月は」


私の気持ちを、正直に伝える。
今日久々に会えても、以前のようにときめく事がなかった。
それが、私の答えなんだと思う。


「…うん。そうだよな…。実は、数日前に先輩VTuberと話しててさ。言われたんだよ、同じ事。『信頼関係が崩れるには十分な期間』だって」


客観的に見ても、そう思われたって事だよね。


「悠から別れるってLINE届いて、驚いたんだ。悠は俺から離れるはずがないって、思ってたから。今思えば、どうしようもなくバカな考えだったって理解してるけどな」

「多分、そうだろうなとは思ってたわ。気づいた辺りのは、そんな感じのLINEだったし」

「当時は理解できなくて、パニックになってた。酷い有様だったから、見かねた先輩とアルルカン教授とで話してたんだよ。アル教授からは…その、ちょくちょく注意はされていたから」


アル教授はある程度知っていたから、ほぼほぼ正確な状況説明をしていたそうな。
私とも連絡取れる人だからね。
それを聞いた仁と先輩VTuber…相良(さがら) (たける)さんはそれぞれ驚いた顔したらしい。

相良さんは「お前、マジか」って驚きと、仁は思いもよらない事を言われて。
それから相良さんに「それは、別れると言われてもしょうがない」と呆れらたそうな。
それでも納得していない仁に、相良さんは嚙み砕いて説明してくれたみたい。


「よくある、自分に置き換えて考えてみろってヤツ。それでも、納得できなかったんだよ…その時は。前提として、『悠はわかってくれている』って…思ってたから」

「………」

「でもさ、『その自信はどこから来るんだ』って。ばっさり切り捨てられたんだよ」


ホントにね。
どうしたらそう思い込めるんでしょうかね?
私はそんなに出来た女じゃないんだけど。