退院したら、ヤモヤモちゃんに相談しようかな。飼育できない原因はなくなりそうだし。
それはさておき。
自分のイラストが3D化して動く姿を見た時は、凄く感動したわ。
結構仲良くしてもらっているので、きっと姉と同様に仁科に詰め寄ったに違いない。


「流石に配信中は出さないけれど、少し前にコラボした時に…ね。配信後に『キミの恋人はレヴィちゃんって聞いてたけど、今はパームって子なんだ?』って。そこからもう、尋問の嵐だったよ」

「…わぁ。目に浮かぶ」

「言い訳も酷かったけどね。要約すれば、悠に甘えきっていて自分から連絡しなくとも、動画とかSNSとかで分かってくれるだろうって思ってたらしいよ。あとは深く考えてなかったって」

「………呆れた」


バカじゃなかろうか。
どんな思考回路したら、既読無視や未読のまま無視して良いと言う答えに行き着くのかな。
親しき中にも礼儀あり、だろうが。
そうでなくとも、パームって人の事もあるのにな?

匂わせの配信やSNS投稿、リスナーの書き込みとか。
最初から今まで、弁明も何もしなかったよね。
あ、今なら未読になっているメッセージの中にあるかもしれないね。
なのに、『悠ならわかってくれるから大丈夫』って…よく言えたものだな。
うん。どんどん仁に対する気持ちが覚めていくのがわかるわ。


「やっぱり、私の事どうでも良いらしいね?」

「パームさんに関しては、何もないって否定しているんだけどね。それも本当の事かわからない。彼女の話と食い違っている事も多数あるから」

「あー…。あれから更に彼女からマウントDM来てたよ。ある意味マメだねぇ」

「成程。まぁ、あからさまに仁科狙いだったし、コラボして接点持てたから落としにかかってるんだろうな」


まぁ、一般人相手よりも同じVTuber同士の方が何かと楽しいし、いろいろやりやすいと思うよ。
でもねぇ。だからと言って、現彼女を蔑ろにしていいわけじゃない。
次に行く為にはきちんと順序を踏まないと。
状況によっては浮気と取られてもおかしくはないんだよねぇ。その辺わかっているんだろうか。


「ホント、彼はどういうつもりでここ3ヵ月過ごしていたんだか」

「僕にもわからないねぇ。僕は性格上、友人知人からの連絡は無視できないから。まぁ、まだ仁科の事は放っといても良いんじゃないかな。悠も放っとかれたんだし。どういう気持ちだったか、思い知らせてやれば良いんじゃない?」

「うーん。やり返すのは違うと思う…けど、面と向かってはまだムリかなぁ。感情的になりそうだから、見舞いにも来てほしくない」

「まぁ、入院する原因作ったヤツだしね。気になるなら相手の言い分聞いたうえで、改めて結論出しても良いんじゃないかな」


仁の言い分ねぇ。
聞きたいような、聞きたくないような…。
多分、メッセにも書いているはずだから、確認しようと思えば出来るんだよねぇ…。


「せっかく麻倉くんがいるんだから、どうせなら一緒に彼の言い分見てくれないかな」

「僕と?」

「うん。時間がまだあれば…だけど。どうにも1人で見る勇気が持てないの」

「怖い?」

「正直に言えば」


何に対して怖いのかが明確には分からないけれど、誰かと一緒なら大丈夫な気がする。