第四章
学校に着いて、自分の席に着く。今日、幸也は姉貴の推しのコンサートについていくとかいう不純な理由でお休み。
仕方ない。今日はぼっち飯だ。まあ、屋上なら一人でも結構楽しいからそこまで気にしないけど。
この中学の屋上からの眺めはサイコーだ。この町の景色を一望できるところが最大の魅力。
屋上へとつながる階段を上り、ドアを開ける。ふわりと香るラベンダーにマリンブルーの空。
こんなにも綺麗な場所なのに、人が全然いないのは最近改装されたカフェテリアの方が映えるせいだ。
この中学にカフェテリアは二つ。第一カフェと第二カフェがある。
第一カフェにはシルクレースのカーテンやシャンデリアがあり、それに加えてカフェのメニューもフルーツパンケーキや、昭和レトロなクリームソーダなど偏見になるかもしれないが女子向きのキラキラしたものばかりだ。
他にも男子の好きそうな大盛りカレーライスやチャーシュー麺などのこってりしたものは第二カフェで安く食べることができるのだから屋上に人が来ないのも納得ではある。
まあ俺としては静かな方が好みなのでとてもうれしいのだが。
すると屋上のドアが開く音がする。誰だろうと思い屋上のプランターの陰からひょいっと顔をのぞかせる。
どうやら三人組のようだ。左からポニーテールで背が低めの女子。ああまつりか。ってえええええ!!???
髪を高く結い上げてはいるものの間違いない!卯月さんだああああ!!!!!え?嘘、、!卯月さんのプライベート見られるって事じゃん!神様、もう俺死んでもいいよ、、。
急な天使の登場で浮かれまくった俺の心はもう一人の奴をみて、しっかりと地面にたたきつけられる。
短めの髪に凛々しく整った顔立ち。それに奴が身に着けているのは、、、スラックス。間違いない。男だ、、、。
それもなんだ?あんなに卯月さんと仲良さそうにして!!つか何処のどいつだよ!少なくとも俺と同じクラスになったことはない。
あんな美形の男子いたら、噂くらいあってもいい。だが、俺の知ってる限りのイケメン男子の噂は幸也しか知らない。
調べようにも在校生700人越えだし、、、。部活の先輩、後輩の可能性もあるからな、、、。
俺が頭を抱えていると、「屋上の景色いいねー、湊の言うとおりにして良かったー!」卯月さんの声が聞こえてくる。
卯月さんの顔は笑顔!そりゃもう笑顔!自分の魂が抜けていくのが分かる。
これ以上ここにいるのも嫌だったので俺は3人にバレないように静かに屋上を後にした。
自分の席に座る。途端に全身の力が抜けてしまった。「はあああああ」
机を力一杯叩くと予想していた以上に大きい音がして周りのやつら以上に俺の方がびっくりしてしまった。