第二章
一般的に見れば地味な部類に入るだろう少女(俺の周りの男子目線なのでそんなことは絶対にない。あんなに可愛いやつはほかにいない。あいつらの目は節穴にも程がある。眼科への受診を強く勧めようと思ったが、よくよく考えたら俺にとっては心底どうでも良かったのでスルーしとく。そしてさららが可愛すぎて困る。もう好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)、卯月さらら。
俺は彼女に恋をしたその瞬間から今まで見えていた景色がガラリと変わった。
あ、念のため言っておくが、そこらへんの人たちの顔が認識できるようになったとかではないからな?
そういうことは今まで通り。むしろもっと見えなくなったような、、、?まーそれは捨てといて。
変わったのは主に2つ。
1つ目は、さららを取り巻く環境に対する見方。
さららがその場で笑っているなら、たとえゲリラ豪雨がきていても台風が上陸していようとも、俺にとっては晴天だ。
2つ目は、曜日に対する感情だ。前は、授業がない日曜日が至福だった。今では、日曜日の方が憂鬱すぎる。
もう日曜なんかつぶれていいんじゃないか?必要ないだろ。さららと会えない時間なんて。
そんなことを考えながら、俺はいつものように電車に乗り込む。
今日は土曜。つまり明日は憂鬱の日曜日。今日こそさららとまともな会話をしたい。
「とーおーやー、、、おはよお、、、」声のする方を見ると、櫛でときさえすればいいだけなのに「めんどい」という理由だけで天性のビジュを壊しいつも寝ぐせをつけている男、、、、、、、!?!?!?!?!?!?!??!?!?
俺の頭は思考が停止した。いや、せざるを得なかったということなのだろうか。
あいつが!幸也が!!!髪をセットし、いつもはくしゃくしゃな制服のスラックスも上着もきっちりしている。
クリーニングにだした翌日でさえ、まるでアート作品みたいに丁寧にぐっしゃぐっしゃにしてくる奴だ。
「ど、どど、どうしたんだよ!?幸也!?お前は熱でもあんのか!!?」平日のラッシュ時間であることを忘れ、壊れたスピーカーみたいになってしまった俺に顔を上げた幸也は不機嫌そうに冷ややかにいう。「うるさい。昨日。遅かった。眠い。寝る。」
それを聞いた俺は心の中で「やってしまった」と呟いた。
そう。俺の親友は朝の態度がヒジョーっに悪く、特に前日にプロセカなんかをやり、ガチャがはずれたときなんかは特にひどい。
幸也のお母さんの火那さんは元ヤンで暴走族の総長までやっていたらしい。
その血を引き継いだからかは知らないが、こんな時の幸也はまじでヤンキーだ。
スポーツテストで毎回好成績を取っていることを知っている俺は特に危険を感じてしまう。
とはいっても、まあ、童顔だから周りからすればイキってるだけにも見えてしまうこともあるが。
とにかく、そんな奴が急にまともになったら、ビックリするにきまってるじゃないか。
機嫌が悪い幸也を怒らせると面倒なので本人に聞くことはできない。(それが一番早いんだが、、、)
ので、俺のダチョウよりも小さいであろう脳をフル活動させて考えてみる。
①具合が悪い ②姉ちゃんにやってもらった(幸也の姉貴の宮日さんはスタイリストでファッション誌にもよく乗ってる)
③昨日、くしゃくしゃにしすぎた(幸也いわく、くしゃくしゃにしすぎても着づらくなるため、限度があるらしい、、、、、どんな?)
④好きな人ができた ⑤オシャレに興味を持った ⑥好きなアニメに感化された などなど 、、、、
あれ、、、?4個目ってなんだったっけ、、?何かとても的を射ていたような、、、、気が、、、気のせいか。
そんなことを考えているうちに、学校の最寄り駅に着く。あわててスロープにもたれかかって寝ている幸也を起こして、
文句を言われながらも、スクバに乗り込む。そのせいで、さっきの違和感なんか欠片たりとも俺の脳内には残っちゃいなかった。