月島先生の目にはうっすら涙が浮かんでいた。

「そして、しばらくして、学校の帰りに詩織の病気が良くなるようにってお参りをした神社を通りかかった。前に話したでしょ?女の子を助けた話」

「それ、私です」

「え?」

月島先生は驚いた声を上げた。

「あの日、おばあちゃんの家に遊びにきていて、後から来るはずだったお父さんが事故でなくなったって聞いてショックで家を飛び出したんです。そこで迷子になって、神社の境内で泣いているところを、高校生くらいの男の子に助けてもらいました」

「そうか、あの時の女の子は岡本さんだったのか」

「あの時は助けていただいて、ありがとうございました」