あははと笑いながら、片瀬さんは頭に手をやった。

「そんなこと言って、ほんとにお客さん来なくなったら大変でしょ。今度友達にも宣伝してきてあげる」

「ありがとうございます。そうしてもらえると助かります」

女の人も笑って帰って行った。

「でも、この店のコンセプトは、ゆったりくつろいでもらうことだから。お客さんでごった返しても困るんだけどね。普通くらいがちょうどいいよ」

確かにお客さんは多くはなかったが、静かで落ち着くところが私の気に入っているところでもある。

「私も落ち着きます。この店の雰囲気」

今度、文芸部の先輩たちを連れてくるのもいいかもしれない。