しかし、なぜ話題になったかはよくわからなかったのだ。

「そっか、志穂、文集買ってなかったもんね」

紬はトートバックから冊子を取り出した。

「これが文芸部が売り出した文集。これに書いてある小説が、面白くて感動するって話題になったんだよ」

紬から借りて読んでみると、恋愛小説のようだった。

それは、私が読んでも、プロ顔負けの内容だった。

最後の作者に、杉原美咲と書かれている。

「これ…杉原先輩が書いたんだ…すごい」