「うん。前いた学校で、生徒に大怪我させたって」

朝倉くんはしばらく黙ったままだった。

しばらくして、ようやく口を開いた。

「怪我させたのは本当だ」

私は背筋が冷たくなるのを感じた。

「あいつらが、こいつのこと棒で殴ってたから…」

グレイを見て悲しそうな顔をした。

「この子のことをいじめてたの?」

「あいつらにとっては、ちょっとしたイタズラだったのかもしれない。でも血だらけになってるこいつを見た時、許せなくなったんだ。動けなくなるまで殴るなんて、そしたら気づいた時には、あいつらを殴ってた」

朝倉くんに殴られた生徒たちは、地面に頭を打ちつけてしまった生徒もいたようで、今は病院で治療しているらしい。

「そうだったんだ。朝倉くんはこの子を守ったんだね」