朝倉くんが、入ってきた。

「朝倉くん」

昨日紬の言っていたことは、本当にあったことなのか。

確かめるのが怖くて、聞くことができなかった。

その後のバイトでも、考え事をしていてオーダーを間違えてしまった。

片岡さんにも、

「何かあったの?」

と心配された。

「なんか今日様子変だけど、なんかあったの?」

バイトの帰り道で、朝倉くんにまでそんなことを聞かれてしまった。

「ううん、そんなことない」

「そんなふうには見えないけどな。拓人も気にしてたし、月島先生も心配してたぞ」

月島先生にまで、心配されていたのは気づかなかった。

「なんか悩んでんなら、相談に乗るけど」

私は黙ったまま、歩いた。

「そうだ、ちょっと寄り道していかね?」

「え?」