「1位になったぞ」
「……?」
「褒美は?」
 褒美? ってなに?
「えっと……?」
 よくわからないが、とりあえず頭を撫でておこう。
「謙吾、がんばったね」
 すると、謙吾の顔がふにゃっとはにかんだ。
 あれ、なんだかずっと前にもこんなことがあったような? 可愛い……。そう思った瞬間、謙吾が私の頭にキスをした。
「もうっ! こんな公衆の面前で何するのよ!」
 そこで謙吾が突然叫んだ。
「天沢糸は俺の宝ものです! 幸せにします!」
 一瞬静まり返ったグラウンドからは冷やかしと割れんばかりの拍手が。 
「……もぅ〜」
 溺愛熊が恥ずかしすぎるー。

 私の婚約が思いがけない形で学校中に知れ渡ることとなったのは言うまでもない。


~完~