「糸ちゃんお久しぶりね!」
「ご無沙汰してます。今日は突然お時間をいただいてすみません」
「いいのよー。こんな嬉しい話はないんだから!」

 久しぶりに会った六車のご両親は相変わらず何もかもが大きかった。190㎝の息子のご両親だ。当たり前にお二人ともでかい。そして声も。
「母さん、個室とは言え音量を下げてくれ」
 どちらかというと寡黙なお義父さんに似た謙吾が苦言を呈する。
「あら、ごめんなさい」
 私や私の両親との久しぶりの再会、二人の結婚話で興奮されているのだろう。そのお気持ちは嬉しいので、私は別に構わないんだけどね。
 今朝連絡したばかりだというのに、どちらの両親もすぐに駆けつけてくれたのは有り難いことだった。
 六車のお義父さんなんて、会計事務所を営んでいるだけのうちの父と違ってお忙しいだろうに。