「びょ、病院に行けって言ったじゃないっ! 私が妊娠したら困るからでしょう?」
「はぁぁぁ? 糸のきれいな肌に髭の跡が残ったら困るからだろう!」
「……」
「……」
 信じられない。どうやらあの時の会話は、完全に食い違っていたようだ。
 いや、どちらかというと私の方が悪い。勝手に勘違いしてブロックまでしてしまったんだから。しかも7年も。
「ご、ごめんなさい……」
「ハァ……いや、俺も。思い返してみたら誤解を招くようなことしか言ってない。悪かった。糸が誤解したのもわかる。俺、その……持ってなかったから」
「え?」
「その……俺初めてで……ゴム持ってなかったから。気をつけたつもりだったけど、病院って言ったらそっちにとるよな」
「……」
 過去の話だとしても、あれから全く経験をつんでいない私には刺激的な話だ。
 あの時ほど若くないからこそ気恥ずかしい。きっと顔が真っ赤になっていることだろう。
 いや、待って、待って! 今なんて言った⁉