「……後悔してるの?」
「ああ、悪い――」
「帰って。もう謙吾とは会いたくない」
「へ?」
 小さなベッドから俺を突き落とした糸は、毛布を巻きながら、床に散らばっている俺の服をかき集めて俺に押し付けた。
「さっさと着て。帰って!」
 服を着る間もなく、俺は追い出された。靴もカバンも後から廊下に放り投げられるという始末。相当な怒りようだった。
 そりゃ謝っても許してもらえないよな。あんなに傷つけてしまったんだから。
 でもこれだけは言わないといけない。
「糸! 病院へ行ってくれ。頼む」
 跡が残ったら大変だ。
「うるさい! 帰れ!」
 早朝のアパートでこれ以上騒ぎを起こせない。
 そう思い、俺はとりあえず退散することにした。
 その後、メッセージはブロックされ、糸が会ってくれることは二度となかった。