糸は楽しそうにプロフィールを作り上げていく。
 プロフィールに貼る写真を自撮りしようとしていたので「俺が撮ろうか? 自撮りじゃない方がいいらしい。本当は自然光のもとで撮った方がいいんだが」などとまた余計なことを言ってしまった。
 ついつい登録者向けのマル秘テクニックと称した『「イイネ」のつきやすいプロフィール作り』を伝授してしまう。
 大馬鹿者だろう。【婚活ステーション】の話が出た時点で、運営は俺の会社だというべきだったのに。
 糸が誰かと結婚するのか? 俺はそれに耐えられるのか?

 小学校時代から大柄で見た目が厳つかった俺は、周りの人間に怖がられていた。何の気兼ねもなしに喋りかけてくるのは糸くらいのものだった。
 そんな糸が特別な存在になったのは小学6年の運動会。俺は毎年の事だが学年縦割り対抗リレーの代表に選ばれていた。