「い、いおり先輩…!」


「ごみ捨て遅いから見に来たんだよ」


 いおり先輩は私の視線の先を追うと、「おー」と小さく声を上げた。


「一葉くん、告白されてるんだ?モッテモテ~」


 いおり先輩が不敵なくらいににんまりと笑う。


「こ、告白、なんでしょうか…?」


 女の子の話はいまいち要領を得ないけれど、たしかに彼女の頬は赤いし、なんだかもじもじしているかも…?


「さ、邪魔しても悪いし、向こうから回ってごみ捨てしようか」


「え?あ、はい…」


 彩ちゃんの一件以来、なんだか私の周りで恋の話がよく出る気がする。


 そもそも私がその手のジャンルにアンテナを張っていなかっただけかもしれないけれど…。


 いやでも意識せざるを得なくなってしまったというか…。


「いおり先輩が告白なんてしてくるから…」


 先輩には聞こえないよう小さくつぶやいた。