「でも椿原くんは綾瀬さんのこと好きなんでしょ?!」


 んんん!?


「いつも綾瀬さんのことばっかり見てるじゃん!私、知ってるんだから!」


 そう、かな…?一葉くんと学校で目が合うことなんてほとんどないけど…。


「だったらなに?」


 一葉くんは面倒くさそうに返答する。


 ひえ~!女の子相手にそんな冷たい態度!!ぜったいだめだよ~!


 女の子は少しむっとしたように言い返す。


「す、好きなら告白したらいいじゃない!」


「なんでそんなことお前に言われなきゃなんないの?」


 一葉くんは相手が女子でも男子でも先輩でも、対応を変えることは一切ない。


 だれに対しても同じように接する。


 冷たすぎる一葉くんの態度に、女の子が泣き出してしまわないかハラハラしていると、後ろから肩をトントンと叩かれた。


「ひっ」


 驚いて声を上げそうになった私に、いおり先輩は小さくしーっと口元に指を当てた。