まずはお鍋に市販のうどん出汁のもとを入れて、水溶き片栗粉を混ぜる。
同時にもう一つのお鍋で湯を沸かす。沸騰したらうどんを茹でる。
出汁を入れたお鍋にとろみがついて、こっちも沸騰したら溶き卵を入れながらかき混ぜ、かきたまにしていく。
最後に水でしっかり洗って食べやすい大きさに切ったほうれん草を少量入れて、少しだけ火を通したら、どんぶりに盛っていく。
茹で上がったうどんにほうれん草の入ったかきたまを入れて、その上にネギをぱらりと乗せたら…。
「完成!ほうれん草入りかきたまうどん!」
じゃじゃーんっと、どんぶりをいおり先輩に見せつける。
「おー…」
「さ!食べてみてください!」
いおり先輩をダイニングテーブルに座らせ、その目の前にどんぶりを置いた。
先輩はなおも少し困ったような表情をしていたけれど、しぶしぶお箸を手に取った。
「いただきます…」
いおり先輩はそう小さくつぶやくと、うどんを少しずつ口に運んでいく。
青白かったいおり先輩の顔が、少し人間味を取り戻してきた気がする。
いおり先輩はなにも言わずもくもくと食べている。
あれ…美味しくないかな…でも食べてくれてるし…。どうなんだろう??
これでも料理、といっても簡単なものだけれど、作ったりはよくする方だと思う。
けど、美味しいかどうかはその人の判断によるから、特別自信があるわけじゃないんだ。