「こんにちは。リゾット、食べさせてもらえるの?」


 品のある所作に、さわやかな笑顔。


 これがサッカー部の王子様…!


「あ、はい!良ければどうぞ」


 私は大木先輩にささっとリゾットを作る。


「ありがとう。部活終わりでお腹空いてたんだ」


 大木先輩は彩ちゃんにも声をかける。


長田(ながた)さんも、家庭科部だったの?」


 彩ちゃんはしどろもどろに答えた。


「あ、いえ…、私は友人の誘いで、その、来てまして……」


「そうなんだね。この前差し入れでもらったクッキー、すごくおいしかったよ」


 彩ちゃんの顔からぼんっと音が聞こえてきそうなくらい、真っ赤になっている。


 私は大木先輩にリゾットを出して、彩ちゃんと大木先輩が話しているうちに、静かーに廊下に出た。