「それで、このチーズリゾット!リゾットは日本でいうおかゆみたいなものなんだ!リゾットは水分が多い分、お米を少なく済ませることができるの。チーズは疲労回復や美肌効果なんてのもあって、これならお米が大好きな彩ちゃんが、お米を我慢せずにきれいになれるんじゃないかなって。……どうかな?」


 彩ちゃんの様子をうかがいながら、私はたずねる。


 すると彩ちゃんはぽたぽたと涙を流し始めた。


「彩ちゃん!?」


「ごめん、ごめんね美桜ちゃん……!私、さっき八つ当たりしちゃった…。がんばってご飯抜いても全然かわいくなれなくて、お腹は空くのに食べちゃだめで、ご飯の時間が少しずつ苦痛になってたの…。親からも食べろ食べろってうるさく言われて…」


「うん……」


「でもね、やっぱり私もおいしくご飯が食べたい!美桜ちゃん、ありがとう…私のためにご飯を考えてくれて」


 彩ちゃんは丸椅子に座ると、「いただきます」とふるえる声で手を合わせた。


「おいしい…とってもおいしい…」


「よかった!!」


 彩ちゃんがご飯を食べてくれたことに、ほっと胸をなでおろす。


「彩ちゃんはお米が太る、って言ってたけど、お米自体に太る要素はなくて、タイミングによるんだ」


「タイミング…?」


「例えば、空腹時にお米からもりもり食べちゃったり、深夜に山盛り食べちゃったり。お腹が空いている時は、お米からじゃなくて、サラダとかお味噌汁からゆっくり食べると、太ったりしないんだって」


「そうなの…?お米、我慢しなくてもいいの…?」


「むしろお米は大事なエネルギーだから、抜く方がよくないよ」


「そう、だったんだ…」


 彩ちゃんはリゾットを眺めながら、ゆっくりと口に運ぶ。