「これ、よかったら食べてみて!」


「え、これって…」


 彩ちゃんの目の前にチーズリゾットを置く。


 彩ちゃんは戸惑ったように私とリゾットに視線をさまよわせる。


「美桜ちゃん、これって、お米だよね?」


「そう!チーズリゾットです!」


 彩ちゃんののどがごくりと鳴った。


 けれど彩ちゃんはチーズリゾットから目を背けてしまう。


「せっかく作ってもらったけど、私、いらないよ。さっきも話したでしょう?ダイエットしてるの。お米はやめたんだよ…」


 なにかを堪えるようにこぶしをぎゅっと握りしめる彩ちゃん。


 そんな彩ちゃんに、私は心が楽になりますようにと、ていねいに説明をはじめる。


「彩ちゃん。ご飯を抜くのはよくないことだよ。たしかに簡単に痩せられるかもしれないけれど、リバウンドって言って、またすぐもとの体型に戻っちゃうんだって。それに私たちはまだまだ成長期だし、丈夫な身体が作れなくなっちゃう」


 彩ちゃんは私の話を静かに聞いてくれている。


「でも、彩ちゃんが大木先輩のためにかわいくなりたいって気持ちも尊重したいんだ」


「美桜ちゃん……」