「悲しいこと…というのではなくて、わるいこと言っちゃったのかなって…」


「どんな?」


 いおり先輩は私の手を引いて、近くの丸椅子に座らせてくれた。


「彩ちゃんに直接聞いたんです。相談に乗るくらいならできるかなって」


「うん」


 いおり先輩は穏やかに私の話を聞いてくれている。


「でも、余計なこと言っちゃいました。彩ちゃんは彩ちゃんなりに、大木先輩に好かれたくて努力していたのに、ダイエットがよくないって言っちゃったんです」


 自分の至らなさに、心が締めつけられるようだった。


「それで彩ちゃんを傷つけてしまいました…。私には、恋がわからないから…」


 もっといい言葉を伝えられれば…。


 ダイエットなんて必要ない、自分の身体を大事に思ってほしい。


 それがうまくできなかった……。


 話を聞き終わったいおり先輩は、私の頭を優しくなでた。


「美桜」


「はい…」


「偉いね、ちゃんと友達と向き合おうとしたんだね」


「偉くなんかないです。結果的に彩ちゃんに嫌な思いをさせました…」


「そうだね。でも美桜ならもう、わかっているんじゃない?」


「え?」