「だから私、お米を食べるのやめたの。他のおかずもものすごく減らした。ご飯を抜いたりもしてる」


 ご飯を抜くだなんて…。そんなことしたら身体が持たないよ…。


「それなのに全然痩せないの。体重も変わらないし、見た目だって全然かわいくなってない」


 彩ちゃんの語気が少し荒くなった。


「こんなんじゃ、いつまで経っても大木先輩にかわいいって思ってもらえない!彼女になれない!」


「彩ちゃん…」


 彩ちゃんが自分を追いつめすぎていて、限界がきていることがわかる。


 心だけでなく、身体も限界だったからこそ、体育の授業で倒れてしまったのだ。


 このままじゃ、絶対だめだ。


「彩ちゃん、無理なダイエットはやめよう?」


「え…」


「彩ちゃんが体調崩しちゃったら、大木先輩にも会いに行けない。それじゃもともこもないじゃん」


「…そうかもだけど…」


「ご飯はちゃんと食べた方がいいよ。大木先輩だって、元気な彩ちゃんの方がきっと好きだよ」


 なんとかはげまそうと言葉を尽してみるけれど、彩ちゃんはまだ納得できていないみたいだった。