「ご飯…?」


 いおり先輩ははじめて聞いた言葉のようにくり返す。


「ご飯です!いおり先輩はご飯不足ですよ!」


 私の発言になんの興味もないといった様子のいおり先輩。


「ご飯ね…興味ないかな。別に食べたいとも思えないし…。それより血がほしいんだけど…」


「それもです!その吸血鬼発言!」


 私はびしっといおり先輩に指を突きつける。


「吸血鬼発言……」


「血がほしいということは、鉄分不足なんですよ」


「鉄分?」


「鉄分は、血液中の酸素を運ぶ役割があるんです。それが不足してしまうと、いおり先輩のように立ちくらみやめまい、目の下の血流も悪くなって、真っ黒になっちゃうんです」


「へえ…」


「いおり先輩が血をほしがるのは、鉄分不足だからです!」


 いくら鉄分不足だからって、血液がほしいと感じるのはめずらしい気もするけれど…。


 いおり先輩は私の話を聞きつつも、なおも興味ないといった様子だった。