いつの間にか握られていた私の手を引きながら、いおり先輩は一つのお店の前で足を止めた。


「ここだよ」


「わあ!かわいい!!」


 そこはパステルピンクとうさぎのキャラクターがメインのファンシーなお店だった。


「クレープ屋さん!?」


「そう。一昨日できたばかりなんだって。美桜こういうの好きでしょ?」


「はい!大好きです!」


 小さなクレープ屋さんの店内は、私たちと同じくらいの歳の女の子たちであふれていた。


「いつも美桜には美味しいご飯を作ってもらっているからさ、今日は俺からのお礼のスイーツってことで。好きなの選んで」


 いおり先輩はそう笑ってウインクした。


「いいんですか!?」


「もちろん」


「どれでも?」


「どれでも」


「ありがとうございますっ!」